第11章 いざ行かん、夢の国
そして午前9時、待ちに待った開園時間が来た。
列の先頭から順に入場が始まる。
入場ゲートを入ってすぐに記念撮影をしている一団が目に入ってきた。
「ちょっとなずな、写真!あそこで写真撮りましょ!」
「写真撮影は後だよ、今はファストパスとレストラン優先!」
なずなはそちらに足が向いている野薔薇の腕を引っ張って連れ戻す。
いつもと立場が逆転している。
「じゃ、一回りしたら電話するから」
全員分のパスポートを託された虎杖がまず先行した。
なずなの指示通り、早歩き……だが、相当な速さでどんどん小さくなっていく。
入場して最初に通るグッズや土産物店が並んだアーケード内で「耳を買う!」と言い出した野薔薇を店の前から引き剥がし、なんとかアーケードを抜けて、なずな達もレストラン予約のために分かれた。
「伏黒、夜のパレードに間に合う時間で予約しなさいよ」
「分かってる」
並んでいる間に予約するレストランの候補まで決まっていたので、まっすぐそちらへ行くつもりだ。
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事前に決めていたおかげか、レストランは昼夜ともに無事予約でき、伏黒、野薔薇、なずなは合流した。
「伏黒、何時に予約できた?」
「5時半」
「夕方じゃない。ちょっと早くない?」
「ううん、夜のパレードが6時半からだからちょうどいいよ」
なずな達が予約した昼食の時間は11時、少し早めのお昼なので、5時半にはお腹も空くだろう。