第11章 いざ行かん、夢の国
「虎杖、アンタの働きにかかってるわよ」
虎杖が駆け回っている間に自分達は悠々自適に空いているアトラクションに乗るものとタカを括った野薔薇は、苦しゅうないといった面持ちで虎杖の肩に手を置く。
しかし彼女もなずなの次の一言に固まった。
「私と野薔薇ちゃんと伏黒くんはその間に昼と夜のレストランの予約をします」
「え゛」
「事前予約枠は全部埋まってたから、当日予約枠を取りに行くの。レストラン予約はパスポート不要だから、お昼時と夕食時の時間帯で4人分の予約を取れればOKだよ」
レストランの予約は初めてだろうということで、野薔薇はなずなと一緒に昼食、伏黒が単独で夕食の予約に向かうことに決まる。
「虎杖くんが一通りファストパスを取って、私達もレストランの予約が済んだら合流。ファストパスの時間帯を考えつつ、空いてるアトラクションを攻めます」
「ア、アトラクションを“攻める”?」
普段からは考えられない豹変ぶりに、虎杖はなずなの言葉を反駁することしかできない。
渡辺って、こんなキャラだったっけ?
俺がいない間に一体何があったの……?
虎杖は助けを求めるように伏黒に視線を送るが、伏黒の方も理解が追いつかないようで戸惑った表情だった。