第11章 いざ行かん、夢の国
そんななずなの気持ちは露知らず、いつもより張り詰めた空気感を醸し出すなずなに、他の3人にも緊張が走る。
「それでは作戦を発表します」
「さ、作戦……?」
その表情はまるで任務の時のように真剣だ。
なずな以外の3人はそれに気圧される。
「まず虎杖くん」
「ハ、ハイ」
思わず背筋が伸びる。
「入場ゲートを通ったら、全員分のパスポートを持って、ファストパスを取ってきて。園内を反時計回りで行くと少しは取りやすいと思う」
丸印をつけたマップを広げ、人気アトラクションを優先的に取ること、他のお客さんもいて走ると危ないから、早歩きで行ってきてと虎杖に細かい注文もつける。
「ファストパスの発券所は大体そのアトラクションの入口の近くにあるから。発券機にパスポートを入れると発行されるよ。4人分発券するのを忘れないようにね」
「俺、責任重大じゃない……?場所とかやり方知ってる渡辺が行った方が良くない?」
虎杖はすでに怖気づき始めている。
「私は鬼切を持ってないんだよ?虎杖くんの方が断然足が速いよ」
「持込可なら鬼切持ってくるつもりだったの!?」
なずなは大真面目にうなずいた。
まさかここに来てそんなミッションを与えらることになるとは思っていなかった虎杖の表情はひきつっている。