第11章 いざ行かん、夢の国
そして当日―
「野薔薇ちゃん、歩き回るし並ぶから、歩きやすい靴がいいと思うよ?足が痛くなっちゃう」
野薔薇が履いている少し高めのヒールの真新しいブーツを見て、なずなは思わず口出しする。
しかし、野薔薇は聞き入れない。
「私はこれを履いてTDLに行きたいのよ!少し足が痛くなるくらい我慢するわ」
この日のために準備した服装だ。多少足が痛くなろうが関係ない。
それより早く行くわよ、となずなを促し、2人は校門へ急いだ。
校門が見えてくると、虎杖と伏黒は先に着いていたらしく、虎杖がこちらに向かって手を振っていた。
「おはよ、なんか皆の私服って新鮮だな」
言われてみれば、4人まとまって休日に外出するのは初めてだ。
特に虎杖は高専に入学して2週間ほどで隔離生活となったため、余計にそう感じていた。
なずなも虎杖の言葉につられて、見慣れない男子2人の私服姿を見る。
虎杖はパーカーにジーンズ、制服の時も中にパーカーを着ているので、ガラッと変わるというより、いつもの延長線上といった格好。
伏黒はというと、黒のスラックスに黒いジャケット姿。
制服より大人っぽい印象を受ける。
不意にドキリと心臓が鳴った気がして、なずなは胸を押さえる。
あれ……?
なんでこんなにドキドキするんだろう?
なんとなく直視できなくなって、目線を下に落とすと、動きやすさ重視のパンツスタイルの服装が目に入った。
ぶわりと顔に熱が集まる。
私も野薔薇ちゃんみたいに、もっとおしゃれするべきだったかも……!
でも服を選び直して着替える時間があるはずもなかった。