第11章 いざ行かん、夢の国
「張り切り過ぎて迷子になるなよ?」
やはり伏黒は心配が先に出てしまう。
「だ、大丈夫、ちゃんと1人でも迷わないんだから」
「……それ、ホント?」
「本当だよ!」
肩をすくめるなずなに今度は野薔薇が疑いの目を向けた。
極度の方向音痴であるなずながここまで断言するのは珍しい。
それでもこれまで積み重ねた前科があるため、伏黒と野薔薇は納得しきることができない。
「まぁ、はぐれた時の集合場所を決めとけば大丈夫なんじゃね?」
虎杖のフォローに2人が渋々うなずくのを見て、なずなは自分への疑いが完全には晴れていないことを察し、頬を膨らませた。
「な、なんだか信用されてない気がするんだけど……!」
「1dayパスポート 4枚でいいよな」
伏黒がスマホをいじりながら確認する。
「えっ!伏黒買ってくれんの!?」
「割り勘だバカ。チケット売り場で並びたくねぇからな、先に買っとく」
サンキューと言いかけた虎杖を伏黒はピシャリと遮った。
「できればレストランも予約したいよね」
「そうね、何食べる?」
洋食、中華、和食にビュッフェスタイルで様々な料理を出しているレストランまで、より取りみどり。
レストラン以外にもチュロスやポップコーン、ドリンクを売るワゴンが各所にあり、野薔薇は目移りしている。
伏黒はチケットのついでとレストランの予約も検索したのだが。
「……事前予約枠、全部埋まってるぞ」
「何それーっ!!」
「日曜日だからね、しょうがないよ」
なずなは少し困り顔で抗議する野薔薇を励ました。