第10章 東京・京都姉妹校交流会
「ーっ!?す、すみません!」
こ、こういう時は、どうすれば!?
ルールブックにはピッチャーに打球を当ててしまった時にどうするのかなんて書いてなかった。
オロオロと戸惑うなずなに真依が追い討ちをかける。
「ちょっと!東京校はメカ丸をいくつ壊せば気が済むわけ?」
「も、申し訳ありませんっ!」
真依に慌てて謝るなずなの肩にポンと何かが置かれた。
そちらを見ると、まず目に入ったのがグローブ、続いてその中に収まったボール。
キャッチャーの東堂がピッチングマシーンに当たって跳ね返ってきたボールを拾い、なずなにタッチしたのだ。
「アウト!」
「……ごめんなさい……」
トボトボとベンチに戻ったなずなは、チームメイトにも頭を下げた。
「ああいう時は走っていいんだぞ?」
「ま、ドンマイだな」
肩を落とすなずなを伏黒とパンダが励ました。
幸いにもピッチングマシーンは壊れておらず、ゲームは続行。
バッターは虎杖だ。
動き出したピッチングマシーンから豪速球が繰り出される。
虎杖はしっかりボールを捉え、バットを振り抜く。
そしてグラウンドに快音が響いた。
「入ったな」
なずなをはじめ、皆が黙ってボールを目で追っている中、真希は満足げに笑う。
強烈な打球は空中にいた西宮も取れず、ボールはグラウンドのネットを越えた。
「おっし」
姉妹校交流会
2日目 野球戦
東京 2-0 京都
30年度交流会
勝者 東京校