第10章 東京・京都姉妹校交流会

ゲームは進んで二回裏、狗巻の打球は、サードの加茂に捕球される。
が、真依にボールが渡るより先に、狗巻は一塁ベースを踏んだ。


「おおっ、間に合った！」

「狗巻先輩、足速いんだよ」

「すじこ！」

狗巻は得意げにベンチに向けてピースサインを出している。


「真依、三輪！盗塁あるわよ！」

すかさず歌姫がファーストとセカンドを守る2人に注意を促した。





続いてなずながバッターボックスに入った。


野球なんて小学校の体育の授業以来だ。
しかもメカ丸ピッチングマシーンは、結構な速球を繰り出してくる。


ここで足を引っ張るわけにはいかないと、なずなはボールの射出口を睨んでバットをを握る。



打ち出された！

なずなの振ったバットはボールを捉える。
やや軽い音で打たれたボールは、真っ直ぐ前に飛んでいき―……



ゴンッ



ピッチングマシーンにクリーンヒットした。







「あっ……」

なずなの打球がぶつかったのを見て、東京校ベンチにいた全員が口を揃えた。


「ピッチャー返しか、なずなも大概攻撃的だよな」

しかも相手はピッチングマシーン、ボールが飛んできても捕球できない。
どの内野手からも少しずつ距離があるから、誰が捕球するか、京都校としては判断に迷うはず。攻撃としては有効だ。


真希は少し感心する。



「いや、絶対狙ってないですよ、あれ」

「確かにあの狼狽えようだとまぐれで当たっちまった感じだな」


ペコペコと頭を下げて、一向に出塁しないなずなを見て、伏黒は眉を寄せ、パンダはため息をついた。