第10章 東京・京都姉妹校交流会
交流会は中日を1日挟んで2日目。
野球のユニフォームに着替えた両校の生徒が向き合った。
審判はこの交流会2日目が野球になった元凶である五条。
ノリノリで「プレイボール!!」と号令を出す。
一回表、先攻は京都校。
東京側ピッチャーの真希の投球をかろうじて打ち返した西宮が出塁して、2番バッターの三輪がバットを構える。
三輪もなんとかバットに当てたが、高く打ち上げてしまう。
「打ち上げた!西宮、まだ走るな!!」
一塁にいた西宮が走り出したのを見て、歌姫がベンチから立ち上がる。
案の定、ボールは地面に落ちることなく狗巻がキャッチした。
「アウト〜」
「えっ、なんで!?」
予想外の判定に三塁を踏もうとしていた西宮が疑問の声を上げる。
「ルールを知らないなら先に言いなさい!」
熱くなっている歌姫の忠告に西宮も反論する。
「知ってるよ!打ったら走るんでしょ!?……犠牲フライ?なんじゃそりゃ、新しい拷問か!?」
「シンプルにバカ!」
次のバッターの加茂は、真希と軽くキャッチボールしている虎杖に声をかける。
「特級を退けたらしいな」
「え、うん、いや、東堂と五条先生のおかげっスよ……メットいいんスか?」
加茂は当初、楽巌寺学長に言われなくとも宿儺の器である虎杖を殺すべきだと考えていた。
呪いである虎杖を野放しにしてはいけない。
それが加茂家嫡流の、ひいては自身の母親のためになすべきことだと。