第10章 東京・京都姉妹校交流会
「君達、覗きは良くないと思うよ〜?」
「!?」
いつの間にか3人が隠れた木立の前に五条が立っていた。
少し離れた場所でなずなも驚いたようにこちらを見ている。
「そんなに僕となずなの逢瀬が気になった?」
「ハァッ!?なずながアンタみたいなの選ぶわけねぇだろ!」
「ちょ、野薔薇は僕のこと何だと思ってるの?……僕、傷ついちゃう」
よよよ、とアイマスクの上から涙を拭う仕草をする五条。
もちろん涙など一滴も出ていない。
「でも確かにちょっと考え難いよな。渡辺って、五条先生のノリとか苦手そうだし」
「悠仁まで……」
今度はわざとらしく肩を落とすが、生徒達には完全にスルーされる。
「それで、渡辺に何を渡してたんですか?」
「恵は淡白だよね、たまにはノッてくれてもいいんじゃない?……まぁ、隠すことでもないからいいけど。なずな、三級に昇級したんだよ」
一斉に3人の目がなずなに向き、こちらに歩いてきていたなずなはビクリと立ち止まった。
「スゲーじゃん。おめでとう!」
「……えっと、ありがとう」
虎杖の純粋な称賛になずなは肩を縮こませる。
これでなずなは野薔薇と同じく三級術師。
ちなみに虎杖は正式に呪術師として認められていないため、等級がついていない。
しかし、昇級したというのになずなの表情はどことなく暗かった。
それを見た野薔薇が口を尖らせる。
「もっと嬉しそうにしたら?」
「う、うん……」
やいのやいのと祝っている虎杖や野薔薇の後ろで、伏黒だけはなずながあまり喜んでいない理由をなんとなく理解した。