第10章 東京・京都姉妹校交流会
一方、五条に連れて行かれるなずなを見て、野薔薇は眉をひそめた。
「なずな、なんで呼び出されたのかしら?」
「……何か悪いことしたとか?」
「渡辺に限ってそれはねぇだろ」
伏黒の言う通りだ。
虎杖も自分で言っておいてなんだが、非行に走るなずなも悪いことをした生徒を叱る五条も想像できない。
ならば一体何の呼び出しなのだろうか。
ちょっとした好奇心だったが、虎杖と野薔薇がそれに抗えるはずはなく、伏黒も2人に引きずられる形で、五条となずなの後をつけることに。
さっきまでいた建物の入口が見えなくなる辺りで五条となずなが止まった。
五条が振り向く素振りを見せたので、後をつけていた3人は慌てて木立に隠れ、そこから様子を伺う。
「五条先生、渡辺に何か渡してるな」
「ちょっと、よく見えないじゃない……!」
「待って釘崎、あんま押さないで」
野薔薇に後ろから押され、虎杖は音を立てないかとヒヤヒヤする。
が、幸いにも気づかれてはいないようだ。
「下向いたわね……ゴミでも渡されたのかしら?」
「五条先生でもさすがにそこまでやらないんじゃない?」
「……そうか?」
「え゛」
虎杖と野薔薇が驚いて伏黒を見る。
「……伏黒、実はツッコミを待ってたりする?」
「は?違ぇよ」
別にボケようと思ったわけではない。
伏黒は過去に五条から「お菓子あげる〜」と言われ、菓子の包装紙だけを渡されたことが何回かあるのだ。
なずな相手にそんなことをするとは思えないが、ないとも言い切れない。