第10章 東京・京都姉妹校交流会
少年院で虎杖の最期の言葉を聞いたのは伏黒のみ。
そこでどんな会話があったのかは野薔薇もなずなも知らない。
それでも野薔薇は会話の内容を察した。
「答えがない問題もあんでしょ。考えすぎ、ハゲるわよ」
「そうだ、答えなんかない。あとは自分が納得できるかどうかだ……我を通さずに納得なんてできねぇだろ。弱い術師は我を通せない」
伏黒だって先輩達にしごかれ、この2ヶ月で強くなった……はずだった。
でも、今回の件で虎杖はその更に上を行っていたことを認めざるを得ない。
「俺も強くなる。すぐに追い越すぞ」
「ははっ、相変わらずだな」
「私抜きで話進めてんじゃねぇよ」
「わ、私だって頑張るからね……!」
「それでこそ、ブラザーの友達だな」
いつの間にか出現した東堂がうんうんとうなずいている。
それを見た4人は何が起こっているのか理解できずに固まった。
……なんで、ここに?
次の瞬間には虎杖は勢いよく窓を開け、外に飛び出す。
「どこへ行く、ブラザー!」
そして東堂は迷わず虎杖を追って外に出て行った。
部屋には伏黒、野薔薇、なずなの3人がポカンと取り残される。
まるで嵐が過ぎ去ったかのようだった。
虎杖は外の塀を飛び越しながら、追いかけてくる東堂に言い放つ。
「感謝はしてる!でも勘弁してくれ!あの時俺は正気じゃなかった!!」
「何を言っている、ブラザーは中学の時からあんな感じだ!」
「俺はオマエと同中じゃねぇ!!」
建物の屋根から屋根へ飛び移りながら、しかし振り切れない東堂へ向かって虎杖の叫びが響き渡った。