第10章 東京・京都姉妹校交流会
「でもまぁ、伏黒の怪我が大したことなくて良かったな。ピザも食えてるし」
「いや、もっと消化のいいもん持ってきてくれ」
「ご、ごめんね……」
「なんで渡辺が謝るんだ」
申し訳なさそうにしているなずなを伏黒がたしなめる。
どうせ虎杖達に押し切られたのだろう。
これ以上追及してもなずなが落ち込むだけのような気がしたので、伏黒も話を元に戻す。
「あの時、呪力カラカラだったのが逆に良かったみたいだ。根を取り除いた時点で家入さんの治せる程度だった」
「へー、そういうこともあんのか」
「アンタ、ソイツと戦ったんでしょ?」
虎杖は東堂と共闘し、あの特級呪霊を退けたというのに、なんてことない風だ。
さすがに無傷では済まなかったようだが、家入の治療を受ける程でもなかったらしい。
死んだと思われていた2ヶ月間、虎杖の生存を厭う呪術界上層部に再び消されないように五条に修行をつけてもらっていたと言っていた。
「……虎杖、オマエ、強くなったんだな」
んあ?とまさにピザを口に運ぼうとしていた虎杖が止まる。
「あの時、俺達それぞれの真実が正しいと言ったな」
それは少年院で虎杖が戻ってきた時の最期の言葉。
自分の良心に従って、助ける人間を選ぶ、悪人を救う気はないという伏黒の考えを正しいとした上で、知っている人間を呪いによる間違った死から救いたいという自分の考えも間違っていないと。
「その通りだと思う。逆に言えば、俺達は2人とも間違ってる」