第10章 東京・京都姉妹校交流会
お昼時ー
なずなは野薔薇と一緒に校門でピザを受け取り、男子寮へと向かう。
「お、いらっしゃーい」
伏黒の部屋の戸をノックすると、出迎えたのは虎杖。
なずなは律儀にお邪魔しますと断りを入れて入る。
「それ、オマエの台詞じゃねぇだろ。俺の部屋だぞ」
ベッドの上で上体を起こした伏黒が虎杖をたしなめた。
「虎杖は先に来てたのね」
「あー、椅子足りないかと思ってさ、俺の部屋から持ってきてた」
伏黒の部屋には備え付けの椅子1つしかなかったが、今はベッドを囲むように3つ置かれている。
……男の子の部屋って初めて入ったな、なんだか緊張しちゃう……
以前男子寮に入ったときは廊下までだったので、なずなは思わず部屋の中を見回してしまう。
「なずな、何キョロキョロしてんのよ?……もしかして、いかがわしい本がないかチェックしたりとか?」
「ち、違うよ!」
「そんなもん置いてねぇよ」
なずなと伏黒の声が重なる。
早く食おうぜ、と言う虎杖に急かされ、虎杖、野薔薇、なずなは椅子に座り、ベッドの上にピザを広げた。
「それにしてもアンタ、いつの間にあのゴリラと仲良くなったのよ?」
昨日初めて会ったはずなのに、東堂は虎杖のことを「マイフレンド」とか「ブラザー」と呼んでいた。
尋ねたのは野薔薇だったが、伏黒もなずなも同じ疑問を抱いている。
「いや、仲良くなったっつーか……記憶はあんだけど、あの時は俺が俺じゃなかったというか……」
虎杖の答えもイマイチ要領を得ない。
「何アンタ、酔ってたの?」
「釘崎は俺があの状況で酒を飲みかねないと思ってるの?ショックなんだけど……」