第10章 東京・京都姉妹校交流会
少し時間を遡り、ここは食堂。
虎杖、野薔薇、なずなの3人が机を囲んで伏黒の見舞いの相談をしていた。
「……ほ、本当にピザにするの?」
「伏黒の怪我はちゃんと治ってるんでしょ?だったら問題ないわよ。私達が食べたいものを食べましょ」
問題になっているのは差し入れる料理。
腹部を負傷していたのだから、胃に優しいものがいいとなずなは考えていたのだが、そんなんじゃ自分が満足できないと野薔薇に反対されてしまったのだ。
「伏黒、心配ないってよ」
念のため本人に確認した虎杖がスマホのメッセージ画面を見せる。
ちなみに怪我の治り具合を聞いただけで、ピザを食べられるかどうかまでは聞いていない。
「何が食べたいか、聞いた方がいいんじゃ……」
「もうピザの口になっちゃったわよ!どれがいい?」
なずなの小さな声を遮って、野薔薇が宅配ピザのメニューを広げる。
「……これは?ホットハラペーニョ」
「ダ、ダメだよ!」
ピザはピザでもせめて刺激物だけは阻止しなければとなずなはやや声を荒げた。
その様相に虎杖が目を丸くする。
「渡辺って辛いのダメだった?」
「別に平気だけど……伏黒くんはお腹の怪我が治ったばかりなんだから、辛いのは止そうよ」
「それもそっか」