第10章 東京・京都姉妹校交流会
「性別不詳のオカッパ坊主のガキんちょ……心当たりは?」
「なーし!適当こいてるだけじゃない?自白に強い術師いないの?」
冥冥の質問に五条も肩をすくめる。
その向かいにいた歌姫はもっと根本的な部分に疑念を抱いていた。
「そもそもなんで呪霊や部外者が天元様の結界を抜けられたのよ?」
「それは生徒達が相手にした特級呪霊のせいだと思う。特殊な気配を持ってる。呪霊は呪霊でも限りなく精霊に近いんじゃないかな。葵の話だと、植物に潜り込めたらしいし。天元様の結界も植物には機能しないでしょ」
「天元様の結界って“守る”より“隠す”に全振りしてるから、懐に入られるとちょっと弱いよね」
推察を語りながら、五条は敵側の動機について思案する。
宿儺の指による悠仁の潜在能力強化を危惧したのか……?
それとも呪霊達の強化目的か……
なーんかしっくりこないんだよな。
「とりあえず今は学生の無事を喜びましょう」
「ふむ……」
「だが交流会は言わずもがな、中止ですね」
「ちょっと、それは僕達が決めることじゃないでしょ」
夜蛾の発言に五条が待ったをかけ、五条を除く全員が首を傾げた。