第10章 東京・京都姉妹校交流会
残るは以前火山頭の特級呪霊を追い詰めた時に遭遇した呪霊。
アレも逃げが上手い。
相手をしてる悠仁の所までは距離がある。
……仕方ない。
「少し乱暴しようか」
術式順転「蒼」
術式反転「赫」
収束と発散、それぞれの無限を衝突させることで生成される仮想の質量を押し出す。
特級呪霊のいる方へスッと指を向ける。
―虚式「茈」―
地響きを立てて一直線に放たれた「茈」は高専の森に深い谷を刻みつけた。
これにて一件落着、としたいところだったが、そういうわけにもいかなかった。
再びアイマスクをした五条が睨んだのは高専の中心部。
もう消えてしまったが、そちらにも呪霊の気配があった。
まだどのような被害が出たか分からないが、忌庫に侵入されたのなら、危険な呪物が盗まれた可能性もある。
……まんまとしてやられた。
交流会中の学生を狙ったものかと思っていたが、それは目眩し。
本当の狙いは高専内部だったのか。
特級呪霊と呪詛師の襲来の後、高専はにわかに慌ただしくなった。
怪我の有無や程度に関わらず、全生徒が特級呪霊侵入時の状況の聞き取りを受け、負傷の程度が重い生徒は家入の治療を受ける。
教員や術師、補助監督は総出で被害状況の確認に乗り出している。
五条に手足を潰された呪詛師は捕らえられ、その尋問も行われた。
とても交流会を続けられる雰囲気ではない中で、とりあえず誰が呪霊を祓ったかが明確になっていた東堂とパンダの分だけ戦績に反映され、団体戦は1-1の引き分けという結果となった。