第10章 東京・京都姉妹校交流会
一方、帳を破った五条は上空から森全体を見渡していた。
「さて、どこからいこうか」
アイマスクを取り去った蒼い瞳が生徒や呪詛師の姿を捉える。
歌姫と野薔薇、真依は呪詛師らしき男と対峙している。
パンダとなずなは本部へ退避する途中のようだ。パンダは両腕に真希と伏黒を抱えている。彼ら4人の近くに呪霊や呪詛師は見当たらない。
そして、楽巌寺は別の呪詛師と戦闘中……
下から虎杖の声がして、そちらを振り返ると、川辺の枯れ木が目立つ場所にいるのを見つけた。
六眼に映った虎杖に五条は少し驚く。
彼の呪力が今朝とは比べものにならない程、洗練されているのだ。
少し視線を動かすと、虎杖の隣には東堂。
そこで得心した。
東堂の性格から考えて、虎杖と相性は良いはず。
特級呪霊を相手に東堂と共闘することで、虎杖のレベルが格段に上がったのだ。
彼らの近くに特級呪霊も見えるが、これならば心配いらない。
「となると、優先すべきは……」
フッと地上に降り立った先には楽巌寺と対峙する呪詛師。
「オマエだな」
その呪詛師は目の前に現れた五条に目を輝かせた。
指示されて帳を下ろしたはいいが、ハンガーラックの材料にしようと楽しみにしていた五条はおらず、モチベーションが下がっていたところに五条本人が飛び込んできたのだ。
「ラック!ラック!」
涎を垂らしながら斧を振り回して向かってくる呪詛師に五条は薄く嗤った。
「殺すな!!」
楽巌寺の制止の声と同時に呪詛師の四肢が捻れて潰れる。
そして石灯籠にぶつかり、倒れ込んだ。
痛いと泣き喚く声が少々うるさい。
「コイツには色々聞かないといけない。死なせちゃダメだよ。ほら、手当てして」
苛つく楽巌寺をよそにスイと六眼を細める。
「……歌姫の所にいた奴の気配が消えた。逃げの算段はついてるわけか」