第10章 東京・京都姉妹校交流会
「腕は大丈夫か?」
「はい……もう血は止まってます」
前を行くパンダの問いかけに、なずなはしきりに後ろを気にしながら答えた。
「そんなに心配してもしょうがないぞー」
「す、すみません……でも……」
パンダの言葉はもっとも。
なずながあの場に残っても何かできるわけでもなし、むしろ足を引っ張るだけだろう。
しかしそれでも心配なものは心配なのだ。
「東堂と一緒なんだ。まず死ぬことはないと思うぞ。アイツが強いのは身をもって知ってるだろ?」
それは西宮にも言われた。
なずなもそれは分かっているが、心配しているのは虎杖の方。
否応なく思い出すのは少年院での出来事だ。
伏黒から特級呪霊を前に囮として残ったと伝え聞き、その後、宿儺に代わったまま出てきて、心臓を抜かれてもちゃんと戻ってきた。
虎杖は仲間のためなら、自らの命を擲つことに抵抗がない。
不安を払拭できてないその表情に、パンダも頬をかきたくなった。
両手に真希と伏黒を抱えているのでできないのだが。
「たぶん悠仁はオマエが思ってるより強くなってるぞ。団体戦開始からこの時間まで東堂の足止めができてたんだからな」
京都校の中で一番手強い東堂相手に、誰よりも長く戦って、多少の怪我はあれど五体満足だったのだ。
なぜか仲良くなっているように見えたが、だからといって東堂は手心など加えない。
「まぁ、信じてやろうや」
「はい……」