第10章 東京・京都姉妹校交流会
術式を解けと言われたなずなは戸惑ったような表情を見せる。
それを見た伏黒はあることに思い当たった。
なずなの術式はフルオートで発動する。
それを当たり前のように使っていたため、術式の解き方や感覚が分からないのだ。
「鬼切を放せ!」
鬼切を川に落とし、ようやくなずなに巣食った根も生長を止めた。
“よく対応しましたね。ですが、片腕を潰しました。これであなたは武器を使えない”
いよいよ後がなくなった。
怖い……!
今更、足が震えてきた。
伏黒くんはお腹に種子を食らっている。真希先輩は動けない。
私も鬼切が持てないし、片腕じゃ游雲も使えない。
特級呪霊が自分達を見る。
嫌だ……
2人を殺されたくない……
殺させないためには戦わなくちゃ……
右腕に生えた芽と目が合って、ナハッと笑われる。
……これさえ、無ければ……!
この植物の根は右腕だけにしか伸びてない。
伏黒くんのように内臓に届いている恐れはないから、引き抜いても大事には至らないはず。
なおも笑っている芽をなずなは左手で鷲掴み、歯を食いしばって一息に引き抜いた。
ブチブチと肉が裂ける嫌な音と激痛。
根が抜けた所から血が流れ出てくる。