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妖刀使いの臆病呪術師【呪術廻戦】

第10章 東京・京都姉妹校交流会



「真希さんもなずなも気をつけて」

3人は川の対岸へ渡り、野薔薇は真依を探すため森の中へ、真希となずなはさらに北上するために分かれる。



「帳が下りる直前、北東にデカい樹が生えていくのが見えた。特級の呪術だと思う。棘がそっちに逃げてる可能性が高い。恵もその周辺にいるはずだ」


川岸を走りながら、真希は伏黒が加茂と戦っているだろうということをなずなに伝える。


「伏黒くん、電話が繋がらないんです。何かあったのかも……」

「棘もいるだろうし、恵も憲紀も特級呪霊が出てきたら、さすがに共闘すんだろ」

狗巻と加茂は準一級、伏黒も二級術師だ。
いくら特級呪霊相手といえど、簡単に殺されることはないだろう。

そう信じて、2人は巨大な木の根が覆い被さり、不気味な音を立てている北東の楼閣を目指した。











同じ頃、狗巻は伏黒、京都校の加茂と合流し、楼閣内で特級呪霊と戦いながら帳の外を目指していた。


バキバキと音を立てて迫り来る木の根から逃げる。


「大丈夫ですか、狗巻先輩」

「しゃけ」

「来るぞ!」

加茂の鋭い声を皮切りに、今度は宙に浮いた木の鞠から鋭利な枝が伸びてくる。


『止まれ』

各々の頭部を狙う枝は呪言によってビタリと止まった。

わずかにできた隙に加茂が両手を合わせて突き出す。
その手の中には圧縮された血液。

「百斂 穿血」

一点から解放された血液は真っ直ぐ特級呪霊の頭を直撃した。

呪霊の頭部がわずかに砕ける。



その威力に伏黒は目を見張った。

襲撃してきたこの特級呪霊は非常に硬く、伏黒の持っている黒刀の呪具では傷つけられず、加茂の苅祓を受けても無傷だったのだ。


さっきまで加茂と戦っていた時はこれほどの威力の技を持っていることを微塵も見せていなかった。
全然本気を出していなかったということか。


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