第10章 東京・京都姉妹校交流会
「妙だな、烏達が誰も何も見ていない」
団体戦のフィールド内に無数にいる烏と視覚を共有する術式を使っている冥冥がポツリとつぶやく。
「グレートティーチャー五条の生徒達が祓ったって言いたいところだけど……」
「未登録の呪力でも札は赤く燃える」
五条の言葉を夜蛾が拾って続ける。
「外部の人間、侵入者ってことですか?」
「天元様の結界が機能してないってこと?」
「外部であろうと内部であろうと不測の事態には変わるまい」
歌姫、冥冥の疑問の声に楽巌寺は思案する。
団体戦中に虎杖を暗殺するために放ったのは二級ではなく、準一級呪霊。それを祓ったとなると、それなりの手練れということだ。
団体戦どころではない。
すぐに夜蛾をはじめ、教師陣が席を立つ。
「俺は天元様の所に、悟は楽巌寺学長と学生の保護を、冥は区画内の学生の位置を特定・悟達に逐一報告してくれ」
「委細承知。賞与期待してますよ」
「ほらお爺ちゃん、散歩の時間ですよ!昼ごはんはさっき食べたでしょ!」
手を叩く五条を楽巌寺は完全無視。
壁に立てかけてある大きな箱を手に取った。
「急ぎましょう」
歌姫がそう声をかけて、楽巌寺、五条と3人で団体戦が行われている森へ急行した。