第10章 東京・京都姉妹校交流会
少し時間を遡った観覧席。
前に設置されたモニターには眠りに落ちた三輪が映し出されていた。
音声までは拾えないが、手にスマホを持っているところを見るに、おそらく狗巻の呪言をまともに食らってしまったのだろう。
「あーあ、寝ちゃった。私、ちょっと行ってくる」
「え?」
席を立った歌姫に五条が首を傾げる。
「呪霊がうろついてる森に放置できないでしょ」
現在区画にいる呪霊は二級〜四級呪霊。
いくら呪術師といっても寝込みを襲われればひとたまりもない。
「そうさの、三輪が心配じゃ。早う行ってやれ」
楽巌寺に促され、歌姫が部屋を出ようとしたその時―……
ボッと音を立ててすべての呪符が赤く燃え上がった。
この呪符は団体戦用に放った呪霊と対になっており、呪霊が祓われると燃える仕組みになっている。
両チームのどちらが祓ったかも燃焼時の色で判別でき、青色ならば京都校、赤色ならば東京校といった具合だ。
また、真希は自前の呪力ではなく、呪具の呪力で祓うため、未登録の呪力でも赤く燃える。
それがすべて燃えたということは呪霊がすべて祓われたということ。
「え……ゲーム終了?しかも全部赤色。東京校ってこと!?」
歌姫をはじめ、観覧席にいる全員がこの不自然な現象に眉をひそめた。