第10章 東京・京都姉妹校交流会
『……真希と恵も京都校の狙いが悠仁暗殺だってことには気づいてたみたいでな、悠仁に連絡しようとしたが、相変わらず連絡がつかんらしい』
京都校が暗殺を諦めたのに、連絡が取れない。
まだ東堂の足止めを継続しているということだろうか。
思案していると、パンダの元へ玉犬が来たようで、じゃ、後は頼んだぞと通話が切られた。
ほどなくして玉犬がやってくる。
パンダの言った通り、メカ丸の腕とスマホを咥えており、それを狗巻の手に落とす。
そして、その場におすわりの姿勢で待機した。
「ありがとう、玉犬」
玉犬の頭を撫でながらなずなはお礼を言う。
「ツナツナ」
その隣で腕とスマホを受け取った狗巻がなずなに耳を塞ぐよう指示した。
「?、はい……大丈夫です、ちゃんと耳塞ぎました」
何をするのかと思ったら、狗巻はメカ丸のスマホの電話帳を見て、三輪に電話をかけ始める。
『はい、役立たず三輪です』
『眠れ』
何の疑いもなく、電話に出た三輪に容赦なく狗巻の呪言が届いた。
まもなく電話口から寝息が聞こえてくる。
それを確認した狗巻は玉犬の頭をひと撫でして『戻れ』と呪言をかけた。
玉犬が影に溶けるように消える。
その一部始終をなずなは目を丸くして見ていた。
すごい……
パンダ先輩との電話では、全然作戦の話し合いとかもしていなかったのに、電話一本で戦わずに京都チームの1人を棄権させてしまった。
なずなが感心する中、狗巻は口元のチャックを上げる。