第10章 東京・京都姉妹校交流会
走り続けていると、なずなの携帯電話に着信が入った。
「あ、狗巻先輩、ちょっと待ってください!」
2人とも足を止める。
着信画面を確認すると、知らない番号からだ。
こんな時に誰から?と疑問に思ったが、とりあえず出てみる。
「もしもし?」
『なずなか?棘も近くにいるか?』
「パンダ先輩!?は、はい、狗巻先輩もいます」
予想外の相手に驚いたが、なずなはすぐスピーカーモードに切り替える。
「ツナマヨ」
『よし、棘もいるな。俺はちょっと派手にメカ丸と戦っちまって、今ヘロヘロになってる。野薔薇は西宮と戦闘中だ。京都校がバラけ始めてるとこを見ると、どうやら悠仁暗殺には失敗したらしい』
なずなはホッと胸を撫で下ろす。
『さっき恵に玉犬をこっちに寄越すよう連絡した。玉犬が到着次第、今借りてるメカ丸の電話と腕を持たせるから、いいように使ってくれ』
「しゃけ」
狗巻はうなずくが、なずなは何が何だかよく分からず、首を傾げる。
いいように使うって、どういうことだろう……?
結局なずなにはよく分からないまま、さらに話は続く。
『俺達も恵達もまだターゲットの二級呪霊は見つけられてない。少なくとも区域内の南側、湖周辺にはいないとみていいだろう』
となれば二級呪霊の居場所はだいぶ絞られてくる。
東京校のスタート地点である南西から自分達が行った建物区画、真希達が向かった東の森の区画にはいない。
ゲーム終了の号令はまだかかっていないから、京都校も祓っていないのだろう。
だとすると、京都校のスタート地点周辺である北東の区画にもいないということだ。
残るはなずな達のいる北西区画。