第10章 東京・京都姉妹校交流会
狗巻となずなが建物の区画の北にある森に入ると、後ろの空からバチバチと雷のような音がした。
横目で背後を確認すると、鵺が消えるのが見える。
「呪霊がいたんでしょうか?」
「ツナ、明太子」
返事をした狗巻は走る速度を落とさない。
呪霊にせよ、京都校の誰かにせよ、落ちたと思われる地点は自分達のずっと後ろ。
虎杖の様子を確認しに行ったパンダや野薔薇の方が近い。
こちらが優先すべきはターゲットの二級呪霊を探すこと。
先程鵺が落としたのがその二級呪霊ならば、伏黒が祓ってゲーム終了となるはずだ。
ドォン―……
さらに北へ進んでいると、遠くで爆発音がした。
なずなは思わず足が止めてしまう。
振り向くと音のした方向から煙が上がっている。
あちこちで戦闘が起こっている……!
言いようのない焦りがなずなの中で湧き上がるが、頭を振って思考を切り替えようとした。
それでも不安が顔に出ていたのか、狗巻が立ち止まったなずなの方に戻ってきて、安心させるように親指を立てる。
「高菜っ」
「あ、ありがとうございます。すみません、今は皆を信じて、呪霊探しですよね」
大丈夫、皆強くなったのだ。自分達のやることは変わらない。
「しゃけ」
狗巻も力強くうなずく。
今のところ、鬼切は呪霊に反応していない。
この近くにはいないということだ。
気を取り直して森の奥へ進む。