第10章 東京・京都姉妹校交流会
京都校全員が虎杖を本気で殺そうとしているのなら、1人にさせておくのは非常に危険だ。
「虎杖くんに電話してみます」
なずなはすぐに虎杖に電話をかける。
東堂の足止めで出られないかもしれないが、なんとか危険を知らせたい。
しかし、長くコールしても出る気配がない。
「……出ないです」
「そんじゃ、俺と野薔薇は戻って悠仁の安否を確認する。棘となずなはこのまま呪霊狩りを続けてくれ」
「おかか!」
「そうですよ、私達も」
狗巻が両手でバッテンを作り、なずなも反論する。
仲間の命が危ない時に呪霊狩りなんてできない。
「オマエらも悠仁が心配なのは分かるよ。でも俺の妄想が正しければ、京都校がやろうとしてんのは、団体戦のゴタゴタに乗じた悠仁暗殺。団体戦が終われば暗殺もなしだろ」
「……虎杖くんをどうにかされる前に団体戦を終わらせるってことですね」
「しゃけ」
団体戦の終了が早ければ早いほど、虎杖が殺されるリスクは低くなるということだ。
「真希のこともある。悠仁は殺させないし、団体戦にも勝つぞ」
「当然」
やることが決まったら、次は分かれたメンバーとの情報共有だ。
野薔薇が伏黒に連絡を試みる。
しかし、すぐに発信を切ってしまった。
「あーもう、ワンコールで出ろや伏黒ォ。つーか、無線とかBluetoothイヤホンとか支給されないわけ!?」
恨めしげに発信履歴を見る野薔薇の隣で、行った行ったと合図するパンダ。
狗巻となずながそれに従って出発するのを見届けて、悪態をつく野薔薇に向き直った。
「俺は嫌だぞ。気が散るし、かかってくるとビックリする」
「戦闘中は外しゃいいでしょ!」