第2章 放課後遭難事件
「あ、任務とかで必要になるから、連絡先は交換しとくんだよ」
伏黒がポケットからスマートフォンを、なずなもカバンから携帯電話を取り出す。
それに目を留めたのは五条だ。
「へぇ、なずなの携帯電話はガラパゴスなんだね!」
「ガ、ガラパゴスって何ですか?」
「折り畳めるケータイのこと。スマホは持ってないの?」
スマホ、伏黒が持ってる画面の大きな携帯電話のことだ。
「父が厳しくて、スマホは持たせてもらえなくて……でも買おうと思えば、もう買えるんですよね」
なずなが力なく笑う。
なんとも重苦しい雰囲気になってしまった。
この空気どうするんですかと伏黒が五条に目配せすると、五条はひとつ手を叩く。
「明日は課外授業だから、校門集合ね」
無理矢理話題を変えた。
顔合わせが終わり、解散となった夕方、伏黒はジャージに着替えたなずなと鉢合った。
「渡辺、どこか行くのか?」
「うん、ちょっと走ってくる。家にいた時の日課だったの」
夕食までには戻るからと伝え、なずなは校門の外へ走っていった。