第10章 東京・京都姉妹校交流会
なずな達は森を抜け、建物区画に移動したものの、パンダが違和感を感じて一旦立ち止まっていた。
「変だな……京都校がまとまって移動してる。悠仁とバラけた辺りだな。これ、京都校全員揃ってないか?」
「ターゲットの二級呪霊がそっちにいるってことですか?」
なずなの質問にパンダは首を横に振る。
「いや、俺の鼻に二級呪霊は引っかかってない。……もしかして、悠仁を殺そうとしてんのか?」
「何ソレ!?意味分かんない!」
「こんぶ」
不穏な予想に野薔薇と狗巻が眉をひそめた。
なずなも信じられないといった面持ちだ。
「確かにそこまでの敵意は感じなかったが、ありゃ悠仁生存サプライズの前だろ」
「!」
「……楽巌寺学長の指示なら、全然あり得る」
京都校の学長。
確かに京都側の中では生存していた虎杖に一番反応を見せていた。
「京都校は他人の指図で人を殺すような腑抜けの集まりなの?」
「認識が違うんだよ。オマエらには悠仁と過ごした日常がある。俺達もさっき分かった。ありゃ善人、術師には珍しい根明だ」
パンダが口元をかきながら、でもな、と続ける。
「悠仁を知らない奴からすれば、宿儺の器なんて、恐怖の対象でしかないんだよ。呪いを祓うのと感覚的にはそう変わらん。ただでさえ、術師っつーのはその辺の境界がボケやすいからなぁ」