第10章 東京・京都姉妹校交流会
「にしても、ホントなんで東京でやんのよ?」
スタート地点に到着した野薔薇がぼやいた。まだ根に持っている。
「私は東京開催で良かったって思ってるよ」
困り顔で笑うなずな。
その顔を見て野薔薇は片目をすがめる。
「なんでよ?つまんないじゃない。観光もできないし」
「だって京都校でやったら、私、絶対迷子になって、足引っ張っちゃう」
東京校だったから、以前狗巻に迷わないよう呪言をかけてもらったから、こんな森の中でもし1人はぐれてもなんとかなる気がする。
これが京都校ならそうはいかない。
そんな会話をしていると、設置されたスピーカーから五条の声が聞こえてきた。
『開始1分前でーす。ではここで、庵 歌姫先生にありがたーい激励のお言葉を頂きます』
『はぁ!?え、えーっと……あー……ある程度の怪我は仕方ないですが、そのぉ、時々は助け合い的なアレが……』
どうやら五条の無茶振りだったようで、歌姫はしどろもどろになっている。
『時間でーす』
『ちょっ、五条!アンタねぇ!!』
話を振られた挙句、遮られた歌姫が怒りをぶつけている。
しかし、続いて聞こえてきたのはそんなのもどこ吹く風といった五条の声だった。
『それでは姉妹校交流会……スタァート!!』
号令とともに東京、京都両チームが走り出す。
『先輩を敬え!!』
その後の歌姫の怒声まで音声に入ってしまい、虎杖が驚きの声を上げた。
「イチロー!?」
「アホくさ……」