第10章 東京・京都姉妹校交流会
「虎杖、大丈夫か?」
「おー、なんか大役っぽいけど、なんとかなんべ」
「そうじゃねぇ、何かあったろ?」
伏黒は虎杖の雰囲気が前と少し違うと感じていた。
「あ?なんもねーよっ」
虎杖の無理に作ったような笑顔。
どこか重なるのだ。
呪詛師を殺した後のなずなの様子と。
「……あった」
問うような伏黒の視線に、やや間を置いて、虎杖は頭をかきながら白状した。
「けど、大丈夫なのは本当だよ。むしろそのおかげで誰にも負けたくねぇんだわ」
正しい死に様が分かるまで、アイツを殺すまで、もう負けないと自分自身に誓ったのだ。
虎杖の静かな宣言に伏黒も先の問いかけは無用だったと安堵する。
「……ならいい。俺も割と負けたくない」
その言葉尻を捉えた野薔薇が伏黒につっかかる。
「何が『割と』よ!一度ぶっ転がされてんのよ?圧勝!真希さんのためにもコテンパンにしてやんのよ!!」
「うん、真希先輩のために頑張らないと!」
「そういうのやめろ」
拳を突き上げた野薔薇に続いて、胸の前で小さくガッツポーズを作るなずな。
その2人を真希がたしなめる。
が、すぐさま狗巻とパンダが続いた。
「明太子!!」
「そう、真希のためにもな!」
「そういうのやめろ!」
仲間の背中を見て、虎杖も駆け出し、前に出る。
「へへっ、そんじゃまぁ……勝つぞ!」
「何仕切ってんだよ」
意気込む虎杖を真希が後ろから足蹴にしたのだった。