第10章 東京・京都姉妹校交流会
団体戦のスタート地点は高専内の湖近くの森の中。
そこへ向かうために東京チームは森へ続く門の前に集まっていた。
曲がり角に差しかかったところで、虎杖は野薔薇に呼び止められた。
「アンタ、真希さんのことどう思う?」
どう答えても角が立ちそうな質問に焦る。
「ト、トテモ素敵ナ女性カト……」
なぜか片言になっているが、野薔薇が聞きたかったのはそういうことではない。
「あ?術師としての話よ」
「あ、そっち?」
良かったと胸を撫で下ろし、虎杖は建物の隅からひょこっと顔を出す。
一緒にパンダ、野薔薇、なずなも顔を出して、伏黒と話している真希を見る。
「正直、呪術うんぬんはまだよく分かねぇけど、ケンカは超強い。重心っていうか、歩き方でもうヤバい」
「真希先輩、体術も武術もすごく強いんだけど、私と同じ四級なの」
「え゛マジ?」
にわかに信じがたいなずなの言葉に思わず振り返った。
以前、伊地知から呪術師は同等級の呪霊を祓うのが当たり前、一つ上の等級の呪霊に近い実力を持つという話を聞いたが、そうなると真希の実力は三級呪霊程度ということになる。
さすがにそれはおかしい。
「家が面倒な術師の家系でね。セルフ勘当みたいに出て行った真希さんの昇級、邪魔してんのよ」
その疑問には野薔薇が答えたが、さらに新たな疑問が出てくる。
「呪術師の家系なら、強い術師は大歓迎じゃねぇの?」
「一度否定したものを認められないのよ。バカだから」
「でも交流会で活躍して、真希の名前がある程度広まれば、そういう嫌がらせも難しくなるよな」
パンダの言葉にうなずいた野薔薇はビシッと虎杖を指差す。
「そのためにまずは団体戦で勝つ!アンタももういっぺん死ぬ気でやんなさい」
「はい……」
「聞こえてんぞー」
「!?」
ったく、と息をついた真希の口角は少し上がっていた。