第10章 東京・京都姉妹校交流会
場所は変わって、観覧席。
まだ団体戦の開始までは少し時間があったが、歌姫は五条に呼び出されてここに来ていた。
「……それで話って?」
いきなりくしゃみをした五条に引きつつ、歌姫は湯呑みをテーブルに置いた。
「ん?なんでキレてんの?」
「別にキレてないけど?」
「だよね、僕、何もしてないし?」
五条の言動にいちいちイラついていたら、話が進まない。
歌姫は出かけた言葉を飲み込んだ。
打って変って真剣になった五条は膝の上で手を合わせる。
「高専に呪詛師、あるいは呪霊と通じている奴がいる」
「なっ、有り得ない!!呪詛師ならまだしも呪霊!?」
「そういうレベルのが最近ゴロゴロ出てきてんだよね。人語を解し、徒党を組み、計画的に動いている。本人は呪詛師とだけ通じてるつもりかもしれないけど」
一口茶を飲み、五条は本題を伝える。
「京都側の調査を歌姫に頼みたい」
「……私が内通者だったらどうすんの?」
「ないない、歌姫は弱いし、そんな度胸もないで……」
言い終わらぬ内に五条の目の前、少し空間を挟んで一面が緑がかる。
歌姫がまだ中身が入っている湯呑みを五条に投げつけたのだ。
だが、五条本人にそれが直撃することはなく、余計に歌姫を苛立たせる。
「怖っ!ヒスはモテないよ?」
「私の!方が!先輩なんだよ!!」