第10章 東京・京都姉妹校交流会
一方の京都チーム―
団体戦に参加する生徒達の前には、楽巌寺が座っていた。
「宿儺の器、虎杖悠仁は殺せ。あれは人ではない。故にすべて不問、事故として処理する。遠慮も躊躇もいらんぞ」
嫌だなと内心で思う三輪の後ろで真依が意見する。
「殺すも何も、彼、死なないからここにいるんですよね?」
任務で死んだという報告は京都校にも伝わっていた。
しかし当の本人はまるでそんなことはなかったかのようにピンピンしていた。
まあ、東京側の反応を見るに、五条以外は虎杖の生存を知らなかったようだが。
「先の虎杖の死は自死だと聞いておる。敵対術師に止めを刺す時、気をつけねばならんことは?加茂」
「はい、死後呪いに転ずることを防ぐために、呪力で殺します」
「そうだ。他者の呪力でしっかり止めを刺せば何の問題もない。現在、肉体の主導権は虎杖悠仁にある。宿儺が出てこなければただの一回生だ、縊るのは……」
容易いと言いかけた楽巌寺を遮るように東堂が襖を蹴破った。
「下らん、勝手にやってろ」
そのまま出て行こうとする東堂を加茂が制止する。
「戻れ、東堂。学長の話の途中だ」
「11時から散歩番組に高田ちゃんがゲスト出演する。これ以上説明いるか?」
言っている内容はどうあれ、東堂の睨みに一切動じず、加茂が反論する。
「録画すればいい。戻れ」
「リアタイと録画、両方見るんだよ!ナメてんのか?」
(そこかよ……!)
真依はそう思いはしたが、ビリビリとした殺気を感じ、口に出すことはしない。
「いいかお前ら、じいさんもよく聞け。女の趣味の悪いオマエらには、とうの昔に失望してる。謀略、策略勝手にやれ。ただし、次俺に指図してみろ……殺すぞ」
その目は混じり気なしの本気。
有無を言わさず、東堂はそのまま出ていってしまった。