第9章 弱り目に祟り目
「問題は一番厄介な東堂をどうするか、だ。おそらく奴は真っ先に私達を潰しにくる。下手打つと全滅だ」
「そうなると、誰かが東堂を足止めするしかないか……足止め役をどうするかだな」
パンダが腕組みする。
単独で東堂に勝てる者は東京校側にはいない。
なるべく長く足止めして、そのうちに他のメンバーが動くしかない。
もちろん足止め役がタダでは済まないことも考慮に入れなくてはならないだろう。
「……あの、私、やりましょうか?」
おずおずと手を挙げたなずなに全員の視線が集まった。
「何言ってんだ、無謀にも程があるぞ!?」
「そうよ、やめときなさい!アンタ、サンドバッグにされるわよ!」
特に猛反対したのは伏黒と野薔薇。
いくらなんでも実力差がありすぎる。
この場にいる誰が考えたってその結論に至るだろう。
しかし、なずなも考えなしで発言したわけではなかった。
「でも私、怪我しても反転術式で治せます。継戦能力は一番高いと思います」
そういう術式だと判明したのは、この前電車に撥ねられた時だったが、今思えば少年院で宿儺に右肘を潰された時もおそらく反転術式が発動していた。
たとえ勝てなくても足止め役としては悪くない特性だと考えて挙手したのだ。