第9章 弱り目に祟り目
「ごちそうさまでした」
雑炊をきれいに食べきって手を合わせた。
それを見計らって食器を下げようとした伏黒をなずなが制止する。
「明日私が片付けておくから、食器はそのままにしてくれていいよ」
「いい、やっとく。オマエは薬を飲んでおけよ」
食べ終えた食器を片付けに伏黒は席を外す。
なずなも言われた通り風邪薬を飲んで布団を被った。
食後のせいか、また熱が上がってきた気がする。
こんなに高熱が出たのは小学生の時にインフルエンザに罹った時以来。
まるでその頃に戻ったみたいだった。
あの時はお母さんがずっとそばにいて、看病してくれたんだっけ。
息苦しくて、全身の関節も痛くて、でも不安はなかった。
今回は家入先生もただの風邪と言っていたようだし、インフルエンザより症状も軽い。
薬は飲んだし、あとは寝て休めば良くなるはず。
――それなのに、急にひとりでいるのが心細くなってきた。