第9章 弱り目に祟り目
翌朝――
コンコンとドアノックの音で目が覚める。
……今、何時だっけ……?
起き抜けのボーッとした頭で考える。
とにかく出なければ。
そう思って立ち上がると妙にふらつく。
足が重くて、なんだか視界も定まらない。
ドアの方へ歩いていくと今度は何かにつまずいてしまった。
ぐらりと景色が大きく揺れる。
……あれ?おかしいな……
踏ん張りが利かず、なずなは転んでしまった。
――身体が重くてすごく熱い……
鉛が入っているかと思うくらい身体は重く、腕に力を入れても上体すら起こせない。
冷たい床が心地良くて、起き上がる気力を削がれる。
なずなの意識はそのまま遠のいていく。
野薔薇はなずなの部屋の前で待っていた。
「なずな?そろそろ朝食行かないと間に合わないわよ?」
いつも早起きのなずなにしては珍しく、ノックしても返事がない。
もう一度ノックしようとした時、バタッと何か重い物が落ちたような音が聞こえた。
不審に思って断りを入れてドアを開ける。
「なずな、入るわよ?」
開けたドアの前には誰もいない。
さっき落ちた何かを片付けているのかと思って、視線を下に向ける。
「……ちょっと、どうしたのよ!?」
そこにはなずなが倒れていた。