• テキストサイズ

妖刀使いの臆病呪術師【呪術廻戦】

第9章 弱り目に祟り目



――梔子駅――


足の向くままになずなが行き着いた先は日野 雪子を殺害した場所。


あの呪霊に「ユキちゃん」と呼ばれていた日野 雪子。
雪子は呪霊のことを「あっちゃん」と呼んでいた。





『あなたも大事な人を失えば、あたしの気持ちが分かるわ』






……分かるよ……


私も知ってるよ。



お父さん
お母さん
兄さん
弟の弘也


そして虎杖くん


みんな亡くしてしまった大事な人だ。


大事な人を失うと、胸に穴が空いたような感覚がする。





私は、あっちゃんの目の前でユキちゃんを殺した。
あっちゃんからユキちゃんを奪った。
あの時、ユキちゃんを奪われたあっちゃんは悲鳴を上げた。


人間と呪霊だったけど、あの2人は確かに友人同士だった。

私は、大切な友人同士だったあの2人を引き裂いた。


ごめんなさい――

ごめんなさい――


私自身は何も失ってない。
それなのに、胸が重くて寒くて痛い。


……私は、加害者だ。どうしようもないひどい人間だ。







『まもなく、2番線に列車が参ります。黄色い線の内側までお下がりください。通過電車です。ご注意ください』




あぁ、ここから飛び込めば、こんなひどい私も消えてなくなることができるかな……


そう思ったら、少しだけ身体が軽くなった気がした。
自然とホームの端に足が向く。


/ 1120ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp