• テキストサイズ

妖刀使いの臆病呪術師【呪術廻戦】

第9章 弱り目に祟り目



「クソッ、電話が切れた」

思わず拳で机を叩く。

「……ダメ、先輩達もなずなの行き先知らないって」

伏黒とは別に2年生に連絡をとっていた野薔薇も力なく首を横に振る。

「渡辺は間違いなく外だ。電話口から雨音がした」


どこだ、渡辺はどこにいる?

電話が切れるまでのわずかな時間、雨の音とは別の音が聞こえた。

耳に残る規則的な警報音……あの音は……?


「……踏切か?」


電話に出た時、渡辺は踏切の近くにいた?


入学早々に迷子になってから、渡辺はどこかに外出するときは、必ず誰かに行き先を伝えていた。
しかし今回は誰も行き先を知らない。


今朝、報告書を作っていたときの憔悴しきった顔が頭から離れない。

あんな状態で一体どこに?
踏切の音がしたということは、電車に乗るつもりなのか?

しかし、渡辺の部屋を確認した釘崎は、外出するときに持っていく鞄は残っていたと言っていた。


いや、そういえば渡辺はいつも制服のポケットに財布を入れていたか。
となると、電車にも乗れるが……





踏切、電車、駅――……





まさか梔子駅に行ったのか……?





思い当たった最悪のシナリオに、居ても立っても居られず、伏黒は食堂を飛び出した。




「ちょっ、伏黒!どこ行くのよ!?……ったく、アンタの方こそ全然冷静じゃないじゃん」

そう文句を言いつつ、野薔薇はスマホを手に取った。


/ 1120ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp