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妖刀使いの臆病呪術師【呪術廻戦】

第8章 同罪



そして、再び伊地知から連絡が入る。

『今、東口の階段を上っていきました。全身黒い服装で非常に痩せています』


いた……!

黒ずくめの服に病的に細い手足、顔色も悪い女性。
あれが被呪者か。


玉犬も低く唸っている。



伏黒が目を凝らしている後ろで、なずなも呪霊を探す。


鬼切は呪霊がいることを知らせている。でも見当たらない。
やはり隠れているのか。



なずなは周囲を見回す。

取り憑いている被呪者からはそんなに離れないはず。


一体どこに……?





その時、ふと伏黒の足元に目が留まった。




……あれ? おかしいな





……玉犬が、見えない……






伏黒の背後からなずなが焦ったように声をかけてきた。


「ふ、伏黒くん、玉犬はそこにいるんだよね……?」

「いるけど、どうした?」

「私、目がおかしくなっちゃったのかな?さっきまで見えてたのに、見えなくなっちゃった……」

「え……?」


玉犬は離れず伏黒の隣にいる。
なずなからも死角になっていない。

それなのに、煙のように消えてしまったという。




愕然としているなずなを連れ、とりあえず通路の角に隠れる。

「鬼切は反応してるか?」

伏黒の問いかけにコクコクとうなずく。

「でも私には見えない、すぐ近くにいるはずなのに……!」




そこでようやく合点がいった。

今朝ホームで鬼切が反応したのに、なずなが呪霊を見つけられなかったことと、伏黒が残穢に気づかなかったのは、そういう術式が使われていたからだ。

それも姿を隠すというものではなく、呪いの感知レベルを下げる類のもの。



今は夕方、駅には人が集まっている。
こんな場所で見えない二級呪霊と戦うのは危険だ。



「一旦ここを出るぞ。対策を練らないとどうしようもない」



被呪者の女性に見つからないよう、2人は注意深く伊地知の車まで戻った。


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