第8章 同罪
伊地知は梔子駅へ戻る最中、バックミラー越しに敦美の友人のことを見ていた。
あの後、林 敦美の自宅から車で駅に向かっていると、先程の敦美の友人が目に入ったのだ。
もしかして駅に向かっている……?
最初はたまたまだと思ったが、伊地知が信号で止まる度にバックミラーにその姿が映っている。
推測が正しければ、このままでは伏黒となずなが駅で彼女と鉢合わせてしまう。
駅へ向かう道から少し外れた場所に車を止め、駅にいる2人に連絡を取った。
「伊地知さん、どうしたんですか?」
『先程お伝えした林 敦美の友人の女性が梔子駅に向かっています。駅で鉢合わせになる可能性が高いです。あちらに気づかれないよう偵察できますか?』
まだ呪霊の姿も捉えられていない状況だ。
ここで確認しておきたい。
「分かりました。その人が駅に着いたら教えてください」
伏黒は二つ返事で通話を切った。
「何かあったの?」
「呪霊が見つかったって。被呪者がここに向かってるらしい」
「やっぱり人に取り憑いてたんだね……」
「呪霊を確認してすぐに祓えそうなら、ここで祓うぞ」
「分かった」
一度解除した玉犬を呼び出し、なずなも鬼切の入った竹刀袋を手に持ってすぐに抜ける状態で、2人は待ち構えた。