第8章 同罪
大内 秀子と別れ、3人は車に戻った。
「お二人は一度高専に戻りますか?」
「俺は梔子駅で残穢の確認がしたいです」
「では、駅に向かいましょう。私は林 敦美の遺族を訪ねてみます。駅にも車両にも呪霊の姿がないというのであれば、人に憑いている可能性が高いですからね」
その中でも家族は標的になりやすい。
もし取り憑いていなくても手がかりは掴めるかもしれないのだ。
「私は……」
どうしよう、駅の残穢も気になるけど、もし林 敦美さんの家族に呪霊が憑いていたら、誰か祓える人がいた方がいいんじゃ……
「渡辺さんもできれば伏黒君と駅の方をお願いします」
「俺もそれがいいと思います」
逡巡するなずなを見かねて伊地知が提案し、伏黒もそれに同意する。
「えっ、でも伊地知さん1人で呪霊に遭遇したら危なくないですか?」
「渡辺、呪霊はあの駅で人を殺すことに固執してる。駅以外の場所ならあまり危険はないと思う……それに、こういう聞き取り調査に俺達みたいな学生がいると、何かと怪しまれる」
特に遺族となるとその抵抗感は顕著だ。
学生がいるというだけで、聞ける話も聞けなくなることがある。
なずなは邪魔になってしまうのだ。
「……分かりました」
「私も気をつけます。もし先方で呪霊を確認したらすぐ連絡しますので」
念のために住所も教えてもらい、伏黒となずなは梔子駅で伊地知と別れた。