第8章 同罪
コンビニから戻って病室が見えると、なずなのベッドの前に2人の警官がいた。
それを見たなずなの表情が強張る。
そして病室には入らず、手前の廊下の角に隠れてしまった。
「どうしたんだ?」
「あの警察の人達、何しにきたんだろう?」
「ただの事情聴取だろ。そんなに緊張しなくても……」
伏黒が気にせず病室に戻ろうとしたら、ぐっと腕を引かれた感覚がした。
振り向くと、八の字に眉を寄せたなずなが伏黒の袖を掴んでいる。
「じゅ、銃刀法違反で捕まるかも……!」
「銃刀法?」
なぜ今そんな法律が出てくるんだ?
「駅で鬼切を取り上げられちゃったの!中身も抜いて確かめてたから、本物の刀だってバレちゃった……」
なずなは目を泳がせ、冷や汗をかいている。
「ば、罰金?それとも懲役とか……?」
ついに頭を抱え始めたなずなに伏黒はやれやれと頭を掻いた。
「公にはなってないけど、呪術師は任務時の武器の携行を認められてる。今、伊地知さんが警察署に事情を説明しに行ってるから、鬼切も取り戻せるし、渡辺が捕まることもない」
「……本当に?」
なずなは不安げに瞳を揺らして伏黒を見上げる。
「ああ、だから少し落ち着け」
「わ、分かった。が、頑張る……」
尻すぼみに返事したなずなはガチガチに固まってしまっている。
伏黒は自分が代わってやりたい気持ちもしたが、そういうわけにもいかなかった。