第8章 同罪
「君、無理に動いちゃダメだ!」
焦るような救急隊員の声に伏黒が振り向くと、血だらけのなずなが電車の下から這い出してきていた。
すぐに救急隊員に助け出され、手当てされている。
大怪我だが、意識ははっきりしている様子に伏黒は少しだけ安堵した。
されるがままに応急処置を受けるなずなは混乱したように辺りを見回し、近寄ってきた伏黒を見つけて立ち上がりかける。
しかし、思ったように動けないようだった。
「渡辺、今はとにかく無理するな」
「伏黒くん、……何が、どうなってるの……?……わゎっ」
まともな会話もできず、なずなは救急隊員に支えられて担架に乗せられる。
「ちょ、これ本物か?」
処置のためになずなから鬼切を取り上げた隊員が驚きの声を漏らす。
呪符の働きで見た目はごまかしているが、重さは偽装できない上に、抜くと本物の刀というのが丸分かりになってしまう。
「あの、そ、それは……!」
しかしなずなの声は届かず、あっという間に救急車まで運ばれ、その救急車もサイレンを鳴らしてすぐ出発してしまう。
救急車の中でなずなは焦った。
ど、どうしよう?
これは、まずい事態なんじゃないかな……?