第8章 同罪
全身がバラバラになったかと思うくらい、ただひたすらに痛かった。
周りは暗く、硬い地面にうつ伏せになっていることだけは分かる。
ところどころ光が入ってきているが、痛くて顔も動かせない。
「……!……!」
誰かが何か言っている。
でも、なんと言っているかまでは聞き取れない。
何してたんだっけ……?
ホームにいて、アナウンスが聞こえて……
鬼切が反応したけど、どこを見ても周りに呪霊はいなくて……
電車に呪霊が憑いてるかもって思ったら、後ろから背中を押されて……
電車が目の前に迫ってきて、それで……
……撥ね、られた……?
「っ!!」
そこで一気に覚醒した。
地面だと思っていたが、今自分が倒れているのは線路の上だ。
呪霊に襲われたの?
だったら乗客がたくさん待っていたホームは?
反対側にいた伏黒くんは?
今、上はどうなってる?
幸い鬼切は手元にある。
早くここから出なければ。
全身を苛む痛みを懸命に堪えて、意識を手足に持っていく。
……たぶん大丈夫、腕も脚もちゃんとある。どの指もちぎれたりしていないし、動かせる。
「……くっ、……痛っ……」
なんとか四つん這いになって、明るい方を目指して進む。
手足を動かすたびに激痛が走り、歯を食いしばる。少しでも気を緩めると意識を手放してしまいそうだった。
一歩、また一歩
もうすぐ
でもそのあと少しが遠く感じる。
「君、無理に動いちゃダメだ!」
なずながなんとか電車の下から顔を覗かせると救急隊員に引っ張り出され、あっという間に周りを囲まれ、応急処置が始まった。
てっきり呪霊がいると思っていただけに頭が混乱する中、眩しいと手をかざそうとして腕が上がらないことに気づく。
明るいところに出て初めて分かった。
私、すごい大怪我してる。
あちこち破れた制服にはべったりと血痕があり、靴は両方とも脱げている。
なんだか頭もぬるっとしていて気持ち悪い。たぶん出血してる。
……なんというか、見ているだけで痛くなってきた。
傷から目を離し、今度は周りを見る。
伏黒くんは、どこ?