第8章 同罪
翌朝ー
この日は朝の通勤・通学時間帯の調査だ。
昨日の夕方と比べてさらに利用者が多い。
その中を伏黒となずなは二手に分かれてホームを見回る。
昨日と変わらず、呪霊の気配はまったくしない。
逆に不気味なほどだ。
『まもなく1番線に電車が参ります。黄色い線の内側までー……』
なずなのいるホームに電車が来る旨のアナウンスが流れる。
昨日はこのアナウンスが終わった後に女性が線路に落ちた。
もし隠れた呪霊が動くとしたら、このタイミング。
なずなは緊張しながら、目を凝らす。
ドクン
「いる……!」
今度は気のせいじゃない。
鬼切が呪霊を察知した。
どこなの……?
周りに視線を走らせるが、それらしいものは見当たらない。
伊地知さんが推測していた通り、電車の車両に取り憑いているのだろうか。
なずながホームから電車を覗き込もうと身を乗り出しかけたその瞬間、
「!?」
ドン、と背後から勢いよく押された感覚がして前によろける。
しかし、踏ん張ろうと足を踏み出した先には地面がない。
落ちる……っ!
ホームにさしかかっていた電車から耳をつんざくような警笛が聞こえる。なずなが電車の方を見ると、青ざめた運転手と目が合った。
直後、身体にぶつかる凄まじい衝撃になす術なく撥ね飛ばされた。