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妖刀使いの臆病呪術師【呪術廻戦】

第35章 断章 波乱万丈!成人の日



竦む田代をよそに伏黒は玉犬を呼び出し、田代の肩にいた蝿頭を素早く祓うと、部屋の中を見渡す。

なずなが呪具を手にしている状況から電話で言っていた蝿頭はあの男に憑いていたものだと推測できる。

ふらついているのにベッドや椅子といったホテルの設備に傷ひとつつけていないのはさすがというところか、それでも何も見えていない非術師には襲ってきているようにしか見えなかっただろう。

まぁ、なずなをここまで酔わせた上にホテルに連れ込むような男に同情の余地はないが。


他に呪霊がいないことを確認し、伏黒は再び田代を睨んだ。

「オマエ、なずなに何杯飲ませた?」

「……っ」

「5は〜い!」

恐怖から声の出せない田代の代わりに場違いに明るいなずなの声。
田代を追い詰めていた時の剣呑とした表情は嘘のように消え、ニコニコと笑顔になっている。

「恵くん、なんで来てくれたのー?嬉しい!」

「電話してきただろ……」

この甘え癖が他人相手に出なくてよかったと胸を撫で下ろしていると、なずなは玉犬の方へ千鳥足で向かっていった。


「玉犬〜!!」

蝿頭を祓った玉犬をよしよしと撫で回す。

無論、田代には玉犬が見えていないので、何もない空間でなずなだけが喜びながら手を動かしているようにしか見えなかった。

酔っている事を加味してもだいぶ怖い。


……渡辺さん、マジで何が見えてるの?




何はともあれ、絶体絶命のピンチから逃れられた安堵感からため息を吐いた田代はずるずると床に座り込む。
改めて見ると膝が笑っていた。



「おい、オマエ」

「は、はいっ」

伏黒の低く冷たい声に田代はまたもや身を縮ませる。

「二度となずなに手ぇ出すなよ」

「ヒッ……もう絶対に出しません!」


そして、座り込んで動けない田代を放置し、伏黒はなずなに声をかけてホテルを出て行った。



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