第35章 断章 波乱万丈!成人の日
しばらく手が止まらないか様子見していたが、田代に止める気がないことを察して実力行使に出る。
「もぉ、大人しくしてくらさい」
動体視力も鈍っていないため、まずは田代の右腕を掴んで動きを止め、左腕で防御されないうちに素早く頭上の蝿頭を斬り祓う。
「うわぁああぁっ!?」
頭のすぐ上を掠めた白刃に田代は絶叫し、なずなはむっと顔をしかめた。
「……うるさいでしゅ」
「ごめんって、俺が悪かった、マジで謝るから!もう何もしないから!お願いだからやめて。俺、まだ死にたくないっ」
「?、死んれましぇんよ〜?」
必死に懇願しても酔っ払いにはまるで効果なし。なずなは首を傾げるばかりで会話が成り立たない。
彼女の細腕のどこにそんな力があるのか分からないが、掴まれている右腕もびくともしなかった。
「だ、誰か助けてーっ!!」
とうとう逃げることができなくなった田代は青ざめた顔で力の限り叫んだ。
まさにその時、ドンドンとドアを強くノックする音が聞こえてきた。
「あ!」
馴染みの呪力を感じ取ったなずながパッと田代の腕を放し、ドアに駆け寄りすぐに開ける。
「恵くん!」
これをなずなよりも喜んだのは部屋の奥に追い込まれていた田代だ。
「た、頼む、助けてくれ!その子に襲われて……ヒィッ」
部屋に入った伏黒に睨まれ、田代は身を縮み上がらせる。