第8章 同罪
翌日の16時半過ぎー
梔子駅は下校する高校生であふれていた。
同年代だが制服が違うので、伏黒もなずなも少し浮いているが、そんなことは気にしていられない。
呪霊がいないか神経を尖らせて、視線を巡らす。
ホームにいる大多数は高校生。それに混じって大人が何人か電車を待っている状態だ。
特に怪しい気配は感じない。
『まもなく1番線に電車が参ります。黄色い線の内側までお下がりください』
構内にアナウンスが流れる。
その時、なずなの肩に掛けた鬼切が脈打った感覚がした。
ハッと電車の来る方向を見るが、何もいないし、呪いの気配もない。
なんだろう……?
なんとなく胸騒ぎがする。
「どうかしたか?」
「……さっき鬼切が反応したような気がしたんだけど、気のせいかな」
伏黒ももう一度駅全体を見渡すが、やはり怪しい気配はない。
電車がホームに差し掛かった時、奇妙なことが起こった。
2人と同じ列の先頭にいた女性が音もなくいなくなったのだ。
「何だ?」
「えっ、あれ?」
伏黒もなずなも眉を寄せる中、電車のけたたましい警笛が鳴り響いた。
違う、いなくなったんじゃない。
線路に落ちたんだ。
そう認識するや、なずなはホームから飛び出した。
ホームのすぐ下の線路に女性が倒れ込んでいる。
すぐ横からは急ブレーキをかけた電車が迫ってくる。
動かない女性を抱え、全速力で反対側のホームに退避した。
キキーッと耳障りな金属音を鳴らしてようやく電車が止まる。
なんとか、間に合った……?