第8章 同罪
「お疲れ様でした。梔子駅の呪いの気配は消えています。すべて祓えたようですね……伏黒君、どうかしましたか?」
腑に落ちないといった様子の伏黒に尋ねる。
「……正直、被害者数を考えるともっと呪いが強くないとおかしいです。事前に言われていた準二級や二級呪霊は見当たりませんでした」
なずなも伏黒と同意見だった。
「……なるほど。確かに事前調査と食い違いますね」
2人が祓った呪霊の強さを聞いた伊地知は顎に手を当てる。
そうなると、電車の特定の車両に呪いが憑いているか、それとも日々このホームを利用している乗客の誰かに憑いていることも考えられる。
「明日、列車の運行時間内に改めて調べてみましょう。一般の方もいますから、調べるだけ。原則戦闘は禁止です」
昼間の駅となると帷は下ろすのは難しい。
しかも駅の利用客に憑いている可能性があるなら、人の多い通勤・通学時間帯も調べるべきだろう。
そんな駅で呪霊と戦闘になったら、一般人への被害は免れない。
「過去の事故の発生時刻は朝と夕方に集中しています。まずはその時間帯の調査から始めましょう」
終電が終わるの待っていたため、もう次の日になってしまいそうな時刻だ。
明日の朝に調査するのは、疲労の観点から少し厳しいと判断し、明日は夕方、明後日に朝の時間帯に調査し、その結果をもとに対策を立てることにする。
手早く調査の段取りを決め、今日のところは高専へ戻った。