第33章 断章 全身全霊チョコレート・パニック!
そんな怒涛の日々が続くこと約3週間、皆から集めた感想の数々はノート1冊に細かくまとめ、試作を重ねて出来上がった集大成。
ダークチョコレートの玉犬・黒とホワイトチョコレートの玉犬・白。
チョコペンの扱いも上達し、顔もきれいに描けた。
これまでで最高の出来だ。
前日の夜に冷蔵庫で冷やしておいたそれらを慎重に箱に詰め、黒と白を基調とした包装紙で包んでいく。
ラッピングもこの日のために何度も練習してリボンが斜めになることもなく、綺麗にまとまった。
あとはこれを渡すだけ。
恵くん、今日は任務がないって言ってたし、午前の授業が終わったら渡そうかな、
あ、でもお菓子を教室に持って行くのはダメかな……?
だったら今日の授業が終わって寮に戻ってから……
でももし突発的な任務が入ったら渡せなくなっちゃう……!
悩み始めると、渡すまでに落としてチョコが割れたらどうしようとか道に迷って会えなかったらどうしようとか今日地震が起きたらどうしようなど、考えても仕方ないことまで思い浮かんでしまい、なずなは頭を抱えた。
しばらく悶々と悩んでいると、部屋のドアが勢いよく開いた。
「ちょっとなずな、何ボサっとしてんのよ!」
「の、野薔薇ちゃん……あの、これ、いつ渡せばいいと思う……?」
「そんなの今日中ならいつでもいいわよ」
「でも教室にこういうの持ち込むのはどうなのかな、授業が終わった後とかも考えたんだけど突発的な任務が入っちゃうかもだし……」
「あのねぇ、だったら五条はどうなんのよ?出張の度に土産物のお菓子を自分用っつって持ち込んでんじゃない」
「そ、それは先生だからであって……」
「教師が堂々やってんなら私達が禁止される謂れはないでしょ。それに任務うんぬんは考えるだけ無駄!」
「わわっ、ちょっと、野薔薇ちゃん!?」
なずなの悩みをバッサリと切り捨て、クヨクヨ悩むんなら今すぐに渡しに行けと腕を掴んで連行する。